壊れかけのラジオ

目のかすむような
過去に埋もれていた 電波ラジオ

手をかざすと
懐かしい雑音の返事

右手で背に背負い
冬空の下 小高い丘 大きな月


遠い歌が 聞こえてくる
月光に照らされて
遠く はるか遠く 時間も空間も。
電離層の狭間 風に揺られて

丘の上 いま
世界中の意図がこの国へ
向けられて ただ聞き入って


地図もなく 用意されて
いたのはそれだけだった

地図もなく 探した
見つかったのは違う 世界

地図もなく 間違ってはいなかった
求めても 違っても


いま選ぶことが出来るようになった
幸せになっただろうか
強迫屈した自由であること
なんて恐ろしい脅迫だろう
幸せだけが選べない
選ぶ力がない

力だけの世界


聞こえてくる 遠い歌が
遠い 哀しい 遠い 静かな
小さな箱に 求めるよ
限られた世界に 限られた世界の