ひとの体には 鳩尾の少し上辺りに
目には見えない隙間があって
夜の静まりかえったあの空間が広がると
たましいが暴れ始めて
そこからほんの少し あふれだす

にんげんの体から迷い出た
乳白色のそのたましいは
まるでオゾン層に守られず
紫外線にさらされた生き物のように
降りそそぐ無数の宇宙線に
人知れず身をやつし
ひどく痛んだまま
塩水に深く漬け込んでしまう

胸に空いている
切り傷のような 涼しげな鍵穴に
そう
冷たい鉄の敷居を 静かにおろすと
やわらかい冬の夕暮れが
うっすらと内側を覆い始める