ヴィクトール・フランクルによれば、人類はその歴史上、二重の喪失を被ってきている。第一に、動物に特徴的な本能の確実性が部分的に失われた。第二に、人間の行動を大きく制約し、多大の影響を与えてきた伝統による保護が徐々に失われてきた。
そのため我々は、自分が何を成さねばならないかを本能から告げられることはなく、自分が何を成すべきかを伝統から告げられることもない。
その結果、内的空虚の体験、根元的な意味喪失の感情に陥ってしまう。それを彼は実存的空虚と呼んでいる。
動物や未開人と異なり、現代人は生きる意味、意味への意思が必要となる。人間は何かから自由なのではなく、何かに向かって自由なのである。